きっかけはドラマでした

『あの海を忘れない』

私が「認知症」というものを初めて意識したのは、2011年に放映された萬田久子主演の『あの海を忘れない〜若年性アルツハイマー病を支えて〜』というスペシャルドラマを観たときでした。

バリキャリとして地位も名声も得た格好いいシングルマザーが、認知症をわずらって息子の幸せを壊していく過程に衝撃を受けました。原作は山本陽子さんの『さいはてたい』。いつか読んでみたいと思っています。

認知症と生命保険

その翌年、住友生命に入社したのですが「介護」「生活習慣病」に備える保険が主力だったため、このふたつと国の社会保障制度については随分学びました。「認知症サポーター」資格も、会社指示で取得しています。

認知症も生活習慣病も・・・多くは症状が重くなれば「介護状態」になり、いかに本人や家族が苦労するかについては理解していました。それでも、認知症というものはまだ私にとって「他人ごと」でした。

介護に備える保険をおすすめするとき、介護状態とはどういうことを言うのかは説明しても、認知症については「器質性認知症と診断された場合保険が適用される」ということくらいしかお伝えしませんでした。お客様自身も、認知症よりがんや生活習慣病のほうが「自分ごと」にとらえていただきやすかったということもあります。

でもそれから少なくとも5年たってどうでしょう?

当時は介護対応の保険もまだ少なく、他社の多くは商品すら用意していませんでした。今は各社が介護(働けなくなったとき)保障にチカラを入れていますし、認知症対応のオプションも増えています。状況が変わってきていることは事実なのです。

『記憶』と『大恋愛』

月日は流れ2018年。立て続けに認知症をテーマにしたドラマが放映されました。中井貴一主演の『記憶』は韓国ドラマのリメイク。戸田恵梨香とムロツヨシ主演の『大恋愛〜僕を忘れる君と』は大石静さんのオリジナル脚本でつくられました。

『記憶』は中井貴一演じる敏腕弁護士がラストでは「家族の愛に包まれながら穏やかにボケていく」様子が印象的でした。でも「こんな状態が続くのだろうか?(続くわけがないのでは?)」とも思い、その先を想像することがとても切なかったです。

『大恋愛』は戸田恵梨香演じる女医とムロツヨシ演じる作家の出会いから、障害を乗り越えて結婚するまでの恋愛模様、悲しい結末のすべてに胸が締め付けられました。

どちらも観るたびに涙しましたが、同時に不安に駆られ始めました。私も認知症ではないだろうか? 彼らがそこからはじまったように、私も前段階の軽度認知障害(MCI)ではないだろうか・・・?

本気で悩み始め、ドラマ半ばにして病院に検査をして欲しいと電話するまでになってしまいました。

永寿総合病医院の認知症相談窓口

近所にある区の中核病院である「永寿総合病院」には認知症疾患医療センターがあります。電話で担当者の方が「検査はすぐにできないがまずはお話を伺いましょう。今からこれるならちょうど枠が空いています」とおっしゃいました。10分後、私は病院にすっ飛んでいきました。

面談室のようなところに通され、優しそうな看護師さんに1時間くらい対応していただいたでしょうか。それはまず、自分のおいたちから今に至るまでを話すというところから始まりました。

元々話すのは得意なので、調子にのってべらべらと今後の夢までも語った私。笑いながら看護師さんは「大丈夫、あなたは認知症ではありません」とおっしゃいました。

でも、ドラマでは主人公たちはMCIと診断される前後も、頭を使う高度な仕事をこなしていました。それもあって納得できず検査だけは受けてみたい、としつこく食い下がったのです。

ドラマはちょっと大げさすぎます。現場の私たちからみると腹立たしい描写もたくさんありました、と看護師さん。

検査は数ヶ月待たねばなりませんし、そもそもまずはかかりつけ医の紹介状がないとムリです。それよりもオレンジカフェにいらっしゃいませんか? 認知症関連の資格取得や予防法を考えているなら、きっと役にたつと思いますよ」

オレンジカフェとは

既にドラマを観ながら
「食べたものがカラダを作る。健康は食から始まる。得意の食で認知症を予防することはできないだろうか?」
と考え、認知症関連の資格取得や料理家になることを具体化し始めた頃でした。

そんな「夢」を恥ずかしながら看護師さんに語ったのです。オレンジカフェ・・・?初耳でしたが喜んで!と参加させていただくことにしました。

調べてみるとオレンジカフェは「新オレンジプラン」の一環で、「認知症カフェ」ともいい、全国の自治体で行われている厚労省施策のひとつでした。永寿総合病院では二ヶ月に一度テーマを決めてセミナー形式で開催しているとのことでした。

オレンジカフェに参加して

そしてある日の午後、「ハンドマッサージ」をテーマに大手化粧品会社の方が各テーブルで施術したり、ちょっとした先生のお話を伺ったり、体操をしたりというメニューに参加してきました。

認知症の方の実際を知りたいとも思って伺ったのですが、参加者は元気なお年寄りばかり! 
私くらいの年齢の人はほとんどいません。

定員は軽くオーバーしていると思われ、ぎっしりと人が詰まった会場でしたが、途中からその熱気に泣けてきて泣けてきて・・・・。

神経内科の看護師さん(おそらく)総出で切り盛りしている様子、真剣に、でも楽しそうに参加しているお年寄りの様子・・・こんなにたくさんの方が認知症に負けないために頑張っていらっしゃることに心打たれたのです。

参加のみなさんが、少し出されるわずかなおやつやお茶をとても嬉しそうに召し上がっているのも印象的でした。
たとえば、このおやつをもっとからだによいお菓子にすることはできないだろうか?
いや、そんなことよりこの小さな幸せにけちを付けるべきではないのかも?と逡巡しました。

今、思うこと

いずれにしてもこの時、はっきりと決めたのです。
「認知症予防食研究家」として多くの方のお役にたちたいと。この場でみなさんにお話ができるくらいにならなくてはと。そのために何をすべきかを考えようと。

私に大きなきっかけを与えてくれたテレビドラマ、思いをカタチにするための行動に駆り立ててくれた永寿総合病院に感謝しています。

認知症同様、介護につながりやすい骨粗鬆症、糖尿病といった疾病は「今」気づいたときから予防を心がけることが、大切だと思っています。
予防は「そうなるリスクを減らすこと」。予防してもダメかもしれない。でも、やらなければ、知らなければ何かが変わる可能性はゼロです。

このことは、今新型コロナのさなかにあっても思います。できうる限りの対策を講じていれば、たとえ罹患したとしても自分を責めたり、後悔したりすることはないでしょう。

奇しくも、私が始めた資格取得や勉強というインプットが一段落した今、永寿総合病院は国内一の新型コロナ院内感染者数となる事態に直面しています。関係者の皆様に心からエールをお送りすると共に、この危機を乗り越えた暁には何か私にできることはないか、ご相談したいと思っています。

それまでの間、第二弾のインプットを深め、同時にこのサイトをしっかり作りながらアウトプットを進めていこうと思います。